2024年4月30日火曜日

 騙す記事が横行しやすい社会

 

 「人間の自然寿命は38歳である」という記事が目に飛び込んだ。

私は今、53歳。既に「平均的には死んでいてもおかしくない歳」から15年も長生きしていることになる?

「人間五十年、下天の内をくらぶれば、夢幻の如くなり」と織田信長が幸若舞「敦盛」の一節を言って、四十九歳で殺されたのを知っていたので、よく長生きさせてもらえたものだと神様に感謝していたが、15年とはまぁ、長生きさせてもらえたものだと思った。

でも、ここで終わらないのが、ひねくれ者の私の性。

そもそも、38歳って何の根拠があるのか?

どのような科学的根拠に基づいているのか?誰が言っているのか?間違っている、あるいは、嘘なんじゃないか?

あまり政治とか宗教とかについて書くとまずいのだが、Qアノンとか、イスラム教とか、盲目的に思考を停止して信じると怖いものはいくらでもある。

疑ってみることが大事。

事実に基づいた客観的なデータから推察されたものであるのかが大事。また、事実を湾曲して解釈していないか、合理的な解釈であるのかも大事。

で、Webで調べると色々と見つかった。

まず、これ。
2022.09.17

40歳以降は「おまけ」の人生?! 生物学者が語る「在るべき生き方」
人間の自然寿命は40歳以下
池田 清彦

https://gendai.media/articles/-/99574?page=4

 

この人かぁ〜。ほんまでっかの人。上記の記事が問題なのは、「DNAのメチル化」から割り出された値だとは書かれているものの、その根拠(事実に基づくデータやそこからの推論)が一切書かれていないこと。話にならない。あ、上記URLの記事は、池田さんの作成した物ではなく、池田さんの書籍からの抜粋らしいので、池田さんが悪いのではないのかもしれない。

英語で調べると、

Faye Flam
Tue, Jan 28, 2020

"No, Humans Don’t Have a Natural Lifespan of 38"

https://finance.yahoo.com/news/no-humans-don-t-natural-150036944.html

上記の記事はまし。

Biologist Benjamin Mayneさんが記したらしい。

で、ようやくたどり着いた。

Published: 12 December 2019

A genomic predictor of lifespan in vertebrates
Benjamin Mayne, Oliver Berry, Campbell Davies, Jessica Farley & Simon Jarman

Scientific Reports volume 9, Article number: 17866 (2019)

https://www.nature.com/articles/s41598-019-54447-w

読んでみよう。時間のある時に。

2022年12月30日金曜日

時間変化を追う:微分方程式とモンテカルロ法

 年末である。

職場の廊下に人気はない。(「にんき」ではない。そう私は任期制教員では・・・辞めておこう。)

雑事から逃れ、自由気ままに思考するのに最適な条件・・・であるはずなのだが、年内にしたかった、そしてすべき仕事が残っていて、思考に制約がかかってしまう。

時間もないので、辞めておけば良いのに、紙に標題のことに関する思考過程を書いていて、ふと思った。ここに書いておけば良いじゃないか。

 推敲もせず、思ったまま書いていくので、おそらく整理されておらず、中途半端で終わるだろうが、ご容赦願いたい。

 

 Runge-Kutta法、そしてRunge-Kutta-Fehlberg法で初期値問題を解く際に、従属変数(値を求めたいもの。例えば濃度)の値が0のものが変化し始めるときの誤差が大きく、独立変数(たとえば時間t)の変化幅が小さくなりすぎるという問題が生じる場合が多い。

その解決策を模索したい。

定常状態近似法のようなものを使うと良いのではないかと思った。

具体的に考察しよう。

たとえば、(式をあるアプリ風に書いて)

例){ dn sub {i} } over dt = {k over 2} sum from {j=1} to {i-1} {n sub {j} n sub {i-j}} - k n sub {i} sum from {j=1} to {infinity} {n sub j}

のようなSmoluchowskiのRapid coagulation問題のようなことを考える場合を扱う。

iは1以上の整数。

独立変数は時間t。

t=0でn sub {1} = n sub{10}、i>1のすべてのiについて、n sub {i} = 0とする。

時間変化の幅Δt=hとして、

・・・なぁんて、紙に書いたものを写して書いていると、式を書くだけで疲れてきた。やはり、紙とペンの方が楽だ。

GoogleのJamboardにでも書こうか。

肝心のところにたどり着くのに、とても時間がかかる。

 なので、途中は跳ばす。定常状態近似法についての考察を丸跳ばしにする。

 

Runge-Kutta方でのt=0からの最初のステップ(t=0→h)では、 n sub {i}が0ではないような最大の重合度iの値は、

1+1→2、2+2→4、4+4→8、8+8→16、16+16→32、32+32→64

で、k次について、2 ^ k なので、5次で32、6次で64になる。

したがって、Runge-Kutta-Fehlberg法の1ステップで、 ・・・

一部省略・・・

hが小さくなり、6次の項が桁落ち(C言語など)して0と誤って認識されるまでhが小さくなる。小さくなりすぎる。C言語でlong double型だと、10の-4000乗程度以下になるまでである。doubleだと、そんなに小さい数を扱えないので、返ってhの最小値が大きく、計算が早い。

でも、そんな、10の-4000乗程度の濃度の値って必要だろうか。

・・・

時間に余裕がなく、全部は書いてられません。

 ・・・

実際の現象では、有限の数の分子がランダムに反応(衝突・凝集でも等価)する。微分方程式が表す濃度n sub {i}およびその時間変化は、無限に大きい系、すなわち、含まれる分子の個数が無限大の状況での、濃度の値。

実際の系では、有限なので、モンテカルロで多くの分子を取り扱った方が、実際の結果に近いような気がする。

モンテカルロでは、多数の場合(分子と考えても良い)を取り扱い、その平均値が全体の平均値と等しいとするが、その多数とは、有限である。多くの分子を含む系から、ランダムに一つを取り出して、性質を乱数で発生させて決定する。これを同様に多くを取り出す(サンプル、抽出)する。

実際に実験で取り扱う系でも有限の個数の分子を含む。もちろん、1モル=6.02x10^23個の分子をモンテカルロシュミレーションで取り出す(計算する)のは大変長時間かかる。一生で計算が終わらないかもしれない。

ただし、現実は、無限に大きい数の分子が起こしているのではなく、有限である。

パラレルワールドというか、無限に起こる多くの可能性のうちの一つが現実である。

モンテカルロシミュレーションの結果は、同じ数の分子を取り出す場合でも、それを繰り返すと、値が異なる。特に、確率が低い事象で生成する分子、つまり低濃度の分子の濃度は、一回毎の、同じ値の大きな数の分子を取り出すシミュレーション毎に異なる。

これは、不確定性原理にも関係するような気がする。つまり、すべてを正確な値で測定・観測することは不可能で、ある程度の誤差が含まれる。

低確率の事象で生成する低濃度の分子が、発生するかどうかによって、系の状態が大きく異なる場合がある。そのような場合にカオスがクローズアップされるのだろうか。

ちょっと話がそれた。 

Runge-Kutta法やRunge-Kutta-Fehlberg法で解いたとしても、特に短時間での重合度iの大きな分子の濃度は、間違いを含みやすい。上述のことが起こって、無限大の個数の分子を含む系では起こる事象が、起こらないことになってしまう。

ただ、それほど小さい確率の事象で生成する分子を正確に取り扱う必要は、上述の理由で、不要かもしれない。

ちょっと違った観点から考察すると、衝突も平均自由行程程度動ける程度の短い時間で考えると、衝突が起こらないという時間帯があっても良い。このような場合でも、微分方程式を解くと、衝突がわずかな程度に起こっていることになる。こうなると、むしろ、微分方程式を数学的に厳密に解くということは、現実に即していない、間違いのようにも思える。蛇足ながら、我々が暮らしている温度では気体中の窒素分子は、他の分子と衝突しなければ、一秒間におよそ500m程度の速度で運動している。平均自由行程はうろ覚えなので間違っているかもしれないが、一気圧なら分子直径の200倍程度だったような。一分子の直径をおよそ1nmとすると、平均自由行程は200nm程度。これを500m/sで割ると、平均的に一回の衝突を起こす時間間隔はおよそ10のマイナス9乗秒になる。もちろん、液体や固体中の分子の数密度は気体中よりもはるかに大きいのだが。

私がRunge-Kutta-Fehlberg法である系で衝突を計算させたら、long double型変数で計算させたところ、時間変化幅hが一時、

先の話に戻るが、C言語で扱える絶対値が最小の数は10のマイナス4000乗程度だが、これは、アボガドロ数の10の乗数、23の2乗以上である。その程度というのは、現実の系でも起こっていない、すなわち、反応などの速度が0とみなしても良いと思われる。

この0とみなしても良いだろう値、それをどう、C言語のプログラムに与えるか。

たまたま私が実行している環境なら、

double型なら10のマイナス307乗

long double型なら、10のマイナス4931乗

程度以下で、0とみなされている。double型で十分な気がしてきた。いや、もっと大きい値で0とみなしても充分だろう。



2020年6月2日火曜日

「森林はCO2を吸収しない」の間違いと罪

2020年6月2日からこの文章は書いていますが、ほとんど推敲していない、思いつきをそのまま記しているので、読みにくく、勘違いされやすい表現になっている可能性があります。また、冗長で不要な文や箇所が多いかもしれません。適宜、書き直していきます。

「森林はCO2を吸収しない」と公言している教授が居ます。その罪について記します。

なお、「CO2」と記していますが、本来は「2」は下付きにするべきです。このブログでは、下付きにするのに手間がかかるので、下付きにせずに、記させてもらいます。

「森林はCO2を吸収しない」という言葉は、悪いです。罪な言葉です。誤解される可能性が高く、誤解された場合に、CO2を増やす行動を、誤解した人々が起こす可能性があります。
正しく理解していない人が聞くと、「森林がCO2を吸収していないのだから、森林を守る必要はそれほどないのではないか? 」と思ってしまう可能性があります。つまり、「森林を伐採して、木材を燃やして、ビルなどを建てても、CO2を増やさないのではないか?」と勘違いしてしまう可能性があります。

言葉というものは、発言者の意図とは関係なく、違った意味に捉えられる可能性があります。

本当に善良でそして賢い人は、誤解された場合に、問題がある事態を発生させる危険性があるような、そんな言葉は、発しないはずです。

この教授は、敢えて、多くの人々の関心を引くためにか、得てして、狙ってわざと誤解されるようにしたかのような、センセーショナルに見える・聞こえることを書くことが多く、私はその手法を嫌っています。

この「森林はCO2を吸収しない」と記している教授の主張を以下に引用します。

「その理由は2つある。

1)  一本の樹木の体は吸収したCO2でできる。だからCO2を吸収するが、枯死すると微生物が分解してもとのCO2に戻る。これを「自然の持続性」と言う。

2)  森林は、その面積が同じである限り、今日、誕生する樹木と今日、枯死する樹木は同数だから、全体としてはCO2は吸収しない。」

ただし、補則として、

「3)  ただ、例外がある。枯死するときにたまたま水の中に落ちたり、砂嵐が来たり、また海の植物プランクトンが海底に沈んだりして、酸素と触れない場合は、植物の炭素はそのままどこかに蓄積してしまう。

4)  地球の長い歴史では、CO2は「例外」によってすこしずつ減少してきた。かつてはCO2ばかりだった大気は、すっかりCO2が無くなって、最初は少なかった窒素と、CO2からできた酸素になった。」

とも記されています。

当たり前ですが、森林を伐採して含まれる樹木を燃やすと、CO2が発生します。同じ重量の木を燃やす場合と、微生物が分解する場合を比較すると、燃やす場合のCO2発生速度は、通常、微生物による分解によって発生する速度よりもはるかに高くなります。

2)に「森林は、その面積が同じである限り」と記されていることに注意が必要です。森林(厳密には、森林に存在する木の総重量)が増えれば、それだけ、二酸化炭素が吸収されたことになります。厳密には、水や他の成分も吸収されて木の総重量が増えるので、二酸化炭素の吸収された重量と、木の重量の増加は等しくはなりませんが。

また、「吸収する」というのが、CO2の吸収量からCO2の放出量を差し引いた、「正味の」吸収量を意図していることにも注意が必要です。

 物質収支を正しく理解している人ならば、
地球の大気中のCO2の量について、
増加量 = 大気への流入量 - 大気からの流出量 + 大気中の反応による生成量 - 大気中の反応による消失量
という関係を理解できているでしょう。上式の「量」は単位時間あたりの量(もしくは変化)と考えることができ、そうすると、たとえば「増加量」は「増加速度」に置き換えられます。
森林中の炭素原子の量について
増加量 = 森林への流入量 - 森林からの流出量 + 森林中の反応による生成量 - 森林中の反応による消失量
も成り立ち、森林への流入量には、植物が吸収するCO2による寄与も含まれます。植物であっても、呼吸によってCO2を排出することは多くの方がご存知でしょうけど、それは森林からの炭素原子の流出量に寄与します。
たとえ、植物の成長による二酸化炭素の吸収と、植物の有機物の分解による二酸化炭素の生成がつりあっているとしても、植物の光合成が止まると、二酸化炭素の発生量(速度)が増加します。つまり、植物の光合成の速度を下げる(妨害するなど)ことをすれば、大気中のCO2の増加速度が増えます。

大気中の二酸化炭素の量を増やさないためには、森林・植物を大事にする(維持する)必要があるのです。「森林はCO2を吸収しない」という言葉は、百歩譲って、もしも正しいとしても、言ってはいけない言葉なのです。もしも言ったり記したりするのならば、直後に続けて、「ただし、森林を伐採して燃やしたりすれば、CO2が多く発生する」ということを言うべきなのです。

そのような「森林はCO2を吸収しない」という表現の危険性を認識できていないということが、この教授の能力の限界(低さ)を示していると思います。

私が知る限り、ほとんどの植物は、成長するときに、外界から二酸化炭素を吸収し、光合成によって、炭水化物を合成します。つまり、二酸化炭素を外界から取り入れて、二酸化炭素以外の有機化合物を形成します。そのほとんどが、植物の体の構成要素となる、セルロースに変換されます。

この教授は、「森林で、植物の分解によって二酸化炭素が発生する速度が、植物の成長によって二酸化炭素が吸収される速度と釣り合っている」ということを前提にして「森林はCO2を吸収しない」と記しているようですが、いったい、この言葉を聞いた人の何割が、そんな前提条件に気づくのでしょうか?

ただし、一つだけ、良い点を記しておきます。
このような「えっ?」と思わせることを記して、興味深いと思った読者に内容を読んでもらうことで、 読者の理解が深まるという効果はあります。

さらに蛇足です。

日本は、降水量が多く、放っておけば、そこら中から植物が生えてきます。植物が生えてきたとき、みなさんに思って欲しいです。この「植物の大半は、二酸化炭素を吸収して作られたのだ」と。
森林が伐採されて、立派な街が形成されたときに思って欲しいです。「この街にあった植物はおそらく、燃えて、二酸化炭素の増加を引き起こした。また、以前存在した植物が吸収していた分の二酸化炭素が吸収されなくなった」のだと。

とは言え、「森林を開墾するな」と言うつもりはありません。人間の幸せが一番です。
「二酸化炭素を増やす行動をすべて控えろ」なんて言うつもりも毛頭ありません。

「森林を伐採して燃やしてしまっても大気中の二酸化炭素は(それほど)増えない」という間違ったことを、よく分かっていない人に感じさせてしまうという危険性について指摘したかっただけです。 

 さらに蛇足を。

森林が分解されて、二酸化炭素に戻っていることは起こっています。そして、同時に、森林が二酸化炭素を吸収することも同時に起こっています。そういう意味では、森林はCO2を吸収し続けているのです。

また、森の面積が増える、つまり木の全体重量が増えれば、それだけ二酸化炭素が吸収されたことになります。


2019年6月7日金曜日

色々な幸せを認識できていないのでは

両足があることは幸せだ。
https://www.afpbb.com/articles/-/3224220?cx_part=logly

2018年8月8日水曜日

短気は損気

今年の3年生の学生実験のレポートはひどい。
レポートに明記すべきことが実験のテキストに記されているのであるが、明記すべきことが多くのレポートでは記されていない。また、誤字脱字も多い。

あるレポートにあまりに誤字が多いので、頭に来て、そのレポートの表紙に、
「間違いが多すぎる」
と書こうとして、大きな文字で、
「間違いが大すぎる」
と書いてしまった。

我ながら、バカだ。その「大」を消して、左に「多」と書いた。明らかに、漢字を間違えたことが分かる。自分で、吹き出してしまった。

2017年11月16日木曜日

自然科学の多くのことを疑っている人

不思議な人を見つけました。
大したことではないのですが、メモしておきます。
https://hokakebune.wordpress.com/%e7%a0%94%e7%a9%b6%e3%81%ae%e6%ad%a9%e3%81%bf/

2017年8月16日水曜日

肌の色や出自、信仰の違いで他人を憎むように生まれついた人などいない

久しぶりに感動して泣きました。
http://www.afpbb.com/articles/-/3139210