今日はクリスマス。
半鳥人ドラムは、ご自慢の楽器を奏でながら、教会で祈っていた。
「おれっちに素敵な彼女ができますように!」
ホルムズが苦笑する。
「ドラム、教会では歌うなって、神父さんに怒られただろ!」
すぐ、横でキールズが笑って
「お前みたいなドスケベ浮気性男についてこれるような女を探すのは、神様も骨がおれるだろうよ。」
とからかう。
ドラムがにやけながら、怒る。
「うっせぇ、てめえみたいな捻くれものに言われたくなんかねぇよ!」
・・・
ドラムが風呂に入っていて、窓から星空を見上げていると、えらく光る星を見つけた。
「なんだ、あんなところに星なんかあったっけ?・・・」
その星はぐんぐんと大きくなってくる。
「なんだ、あの星!」
星はどんどん大きくなり、そして明るく輝き出した。ついには照らされて、まるで月夜のように明るくなってきた。
「え、え?」
ドラムはさすがに慌て出した。
こっちにまるで降ってきているかのようだ。
というか、降ってきている、間違いなく!
逃げようとするのも間に合わず、その明るい輝く物体は、壁をぶちやぶり、ドラムの入っていた風呂桶に突っ込んだ。
水は飛び散り、風呂桶は真っ二つにさけてしまった。
気絶したドラムが起き上がって、おそるおそる、突っ込んできた物体を見ると、それは、美しい女性だった。しかも、水着のようなものを着ているだけで、肌も顕わ・・・そして、肌が光っている。
驚いたキールズとホルムズがやってきた。
ドラムは驚きに目を見張り、歓喜に震える声をあげた。
「神様!有難う!本当に俺に彼女をくださるなんて!」
キールズが「ちょっとまて、ドラム!」というやいなや、
ドラムは
「ハニー!待っていたよ!」
と飛びついた。
ホルムズが止めに入る前に、その女性の強烈な膝げりがドラムの顎にヒットした。
ガツン!
「何すんじゃぁ!このエロオヤジ!」
転げ回って、すさまじい勢いで壁に激突するドラム。
ホルムズ「へ・・・?」
キールズ「つ、強ぇ・・・」
ホルムズ「あなた、だれ?」
仁王立ちになった女性が言う。
「私は・・・」
そこで、女性の悠然とした態度が一変した。「え・・・私は・・・・」
女性はなんとか声を振り絞った。「だれなんだろう。」
ずっこけるホルムズとキールズ。
キールズ「なかなかやるじゃねぇか。俺をずっこけさせるとは」
ホルムズ「何がだ。」
ドラムが不死鳥のように蘇って、はばたき、女性に飛びつく。「ハニーだ!俺の!」
女性はもういちど膝げりを食らわそうとするが、ドラムは予測して、膝をかわして、まんまと抱きついた。キスをしようとするドラムの顔を両手でおしのけようとするが、ドラムは足で女性の体に絡み付いて離れない。
「やめろよ、この変態!」
ホルムズ「というか、この状況でよく、飛びつけるな。さすが、ドラム。」
ホルムズがドラムを女性から引き離す。
キールズが聞く。「それで、どちらさまなの?なんで、いきなり、風呂場をぶっ壊してくれたわけ?」
女性は言う。
「覚えていない。何があったのか。私が誰なのか。」
ホルムズが何かに気づいた。
「おい、待てよ」
女性の服に文字が書いてある。
キールズが見て、顔色を変える。「LiLitua・・・こりゃあ、ちょっとわけありそうだな。」
ホルムズ「なんだ?リリザって?」
キールズ「いや、他人の空似だろうが、嫌な感じがするなぁ。気にするな。関係ないだろうからよ」
ホルムズ「それで、どうするの?」
リリザ「どうしたら良いのか・・・そうねぇ。私の名前を知っている人を探して、思い出す。」
ホルムズ「今日は遅いんだから、泊まっていきなよ。ちょうど、飯前だったからさ。食べてきゃいいさ。」
リリザ「え、良いの?助かる!」
ドラム「そりゃ!良いさ!だって、君は僕の彼女なんだから!」
また抱きつこうとするドラムをホルムズが抑える。
キールズがこっそり考え込む。「やっかいなことにならなきゃ良いが。」
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