2009年1月15日木曜日

S准教授とのやりとり

先日のS准教授とのやりとりの後で、メールで以下の内容を送っておいた。
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S 先生

先ほどの議論有り難うございました。また、議論中、先生が私の説明している内容を十分には理解されないままに、私の言っていることが正しくないと批判され たことに小生が腹を立てて、先生に罵声を浴びせたことをお詫び申し上げます。 済みませんでした。

以下の2つのページ
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A1%E3%83%B3%E3%83%87%E3%83%AB%E3%83%AF%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%82%B9%E5%8A%9B

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A1%E3%83%B3%E3%83%87%E3%83%AB%E3%83%AF%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%82%B9%E5%8A%9B
にはVan der Waals力は狭義にはにロンドン分散力を意味すること、また、小生が言ったことに関係する話が掲載されています。
数式で厳密には記されてはいませんが、ロンドンが
F. London, "The general theory of molecular forces", Trans. Farady. Soc. Vol.33(1937),p. 8−26
で記していると書かれています。上記の論文を読まれることをお勧めします。小 生も読んでみます。

取り急ぎ御礼、お詫びかたがたご報告まで
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すると、以下のような返事がS准教授から来た。

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平成21年1月9日(金)
福井大学工学研究科 材料開発工学専攻
鈴木 清 先生

 前略,いつもお世話に成っております。メールを拝見しました。取り敢えず感想を述べるべき,と思い下記に問題点を記述します。但し,この議論は早急な結論を出す必要はないので,週に1回程度の議論で良いと存じます。しかし,言っぱなしはもったいないので,議論の内容は書簡として,ひょっとすると外部に公表する(雑誌:化学に掲載する)レベルの議論(言葉の字句ではなくて内容です)をしたいと存じます。もちろん公表する場合は両者の了承・添削とそれなりの「受けねらい」の場面展開が必要ですが。

(1)鈴木先生のメールの主張点は,ロンドンの論文を読め,とのことです。1937年の論文を読んでもしょうがないと思いますが。70年前に縛られて,どうしようとされているのでしょうか。「読め」,と言うなら読みますが,読んで,ロンドンの考えを理解して,どうするんですか。正解がその論文に記載されているはずがないでしょう。正解があるなら,そもそも鈴木先生とこんな議論はしません。

(2)高校生が納得する様な正解は無い,と言うのが私の理解です。条件を設定すれば,ファンデーワールス引力のそれなりの説明ができますが,あくまで「内股膏薬」の解釈です。そんな正解はどうでも良いことであって,ポイントはファンデーワールス引力が学問体系の中で占めている立場というか,自然科学を理解する上でのファンデーワールス引力の「立ち位置」を論評したかったのです。

(3)ファンデーワールス引力なる言語が日常的に使われています。その「ずるさ」を議論したかったのが私のポイントでしたが,ファンデーワールス引力の機構の議論に落ちいってしまいましたので,本論から論点がずれた,というのが私の認識です。

(4)私達年寄りが,若い学生諸君に提示できるのは,「ここまでは分かっているので,これ以降を解明してくれ」と,託す事ではないでしょうか。ファンデーワールス引力は「既に理解されている力」なのか,「今後も議論されるべき力なのか」が,今回の私と鈴木先生との論点です。私は後者の立場ですが,鈴木先生はどうでしょうか。まずは,ここからが出発点です。

以上,取り急ぎご返事のみ。(週に1回程度の知的議論にしたいと存じます)
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大体、私が知らないことをバカにしたような議論に腹が立ったのだが、私の勘違いだったのかもしれない。酔っ払っていたので。しかし、やはり、バカにされたように感じたのは間違いない。そこで、以下のような返事を書いておいた。
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S 先生

鈴木清です。以下のご連絡有り難うございました。

全くの論点のずれと、お互いの意図をお互いが勘違いしていたのだと思います。

酒に酔っていたので、よくは覚えてはいませんが、S先生からの「(鈴木清を含めて)化学者はよく分からないことに押し付けて、それ以上考えようとしない」という批判だったと思います。
それに小生が腹を立てて、私も考えようとしていること、また、分かろうとして解明を試みている研究者たちが居たことを示そうとした訳です。

先生は、小生が「これ以上考えずとも既にファンデルワールス引力については十分に理解できている」かのように言ったと、以下で書かれていますが、そんなことを主張したいために、議論したのではありません。

むしろ、小生からすれば、途中で、S先生が取った態度から、鈴木清は分かっていないが、S先生やT先生やI先生はファンデルワールス力についてよく理解していると高慢な態度で私をバカにしたように思えました。それで腹を立てたわけです。

それなのに、途中から、私がS先生にファンデルワールス力について問うと、「ファンデルワールス力はよく分からない力である」というのが答えだというようなことを仰られたので、むしろ、S先生の方が、これからの検討をせずに「理由の分からない力だ」と言って諦めてしまっているように、私には思えました。

口で言った、言わなかったとの愚かな言い争いをするつもりは全くありません。

以下、ご指摘されたことについて御返事します。

(1)ですが、積分しても0にならないという小生の主張を、S先生は完全に否定されました。ロンドンの文献を読めば、0にならないことが分かると思います。ファンデルワールス力について本当に検討すべきだと思われるのでしたら、読んでおいて損はしないと思います。70年前の考え方も理解できないような知識で、それを越える理論を展開できるとは思えません。

(2)ですが、曖昧には記されている意味は分かりますが、「そんな正解はどうでも良いことである」とは決して思えません。正解が本当に正しいのか、また、正解以外の解釈があるのか、正解に問題が無いか、検討することで科学が進歩するのだと思います。

(3)については、「何でもかんでも分からない力をファンデルワールス力に押し付けることがずるい」という意見には全く同感です。途中で小生をバカにされているように感じて小生が腹を立てたので、議論が違う方向にいってしまったのでしょう。

(4)については先生の書かれていることは勘違いです。小生は、「分かっているから考えなくても良い」とは決して思っていません。科学者は「ファンデルワールス引力という理由の分からない力のせいにして、その理由を考えなかった」のではなく、考えようとして、理論を展開したりしていたということを伝えたかったまでです。そこで、小生は解釈の一例を示そうとしたのです。なのに、先生は「小生の考え方が間違いだ。」と否定されました。否定するということは、S先生が私の知らない解答を持っているのだと勘違いしたわけです。全てのファンデルワールス力(凝集力?)の原因が全て理解されてしまっているとは、小生は全く考えてはいませんでした。また、解明されていると言われていても、いや、誰が言おうとも、論理的に打破することができるのなら、その解釈は間違いかもしれません。真理なんて、そう簡単には(いや、絶対に)分からないと思っていますし、分からないから面白いのだと思っています。分かったと思ってしまった瞬間に、進歩もなくなるわけです。むしろ、「分かった」と思われている分野にこそ、間違いや誤解、そして探求すべき真実が隠されて残されているのではないでしょうか。

誤解の無いようにお願いします。

小生は、ファンデルワールス力について検討して論文を書く(科学的業績を上げる)よりも、今現在、研究室で行っている実証的検討によって論文を書く方が大事です。そちらの方にはるかに興味を持っております。小生がファンデルワールス力について検討するにはかなりの勉強が必要で、そのようなことは行うつもりはありません。

最後に、小生の勘違いにより、お気分を害しましたことを心よりお詫び申し上げます。ただ、先生の取られた態度が、小生にそのように勘違いさせたのだと認識しております。今後は、小生も誤解で関係を悪くしたくありませんので、先生と一緒にお酒を呑むのは遠慮させていただきます。小生は酒に酔うと、論理的な思考ができなくなり、また誤解もよくします。さらに、記憶を失うことも多々あります。

申し訳ございませんでした。

取り急ぎご返事かたがたお詫びまで

鈴木 清       拝

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