2008年12月14日日曜日

『ドラコンの法律』

2007年10月14日


『ドラコンの法律』
書き始め2003年12月7日
最終更新日2006年5月20日


無髪の美僧ドラコン。彼女はその第三の目で何を見るのか。
「苦しすぎる。救わねばならない・・・」

ドラコン達カル=キュローの手下は、惑星アルテマの超能力者たちの潜伏村に来ていた。 超能力者たちは、ドラコン達と戦闘しようとするが、最長老アルム=アクラはそれを制止し、 融合して二人になるように指示する。
「争っても苦しみしか生まぬ。それにお前たちの適う相手ではない。私に任せておけ。 良いか、何があっても、お前たちはアルムの目を守るのだ。」

ドラコンの部下たちは、超能力者によって作られた数々の障壁を破壊し、ついに最長老に対峙する。
ドラコン「カル=キュロー様と手を組んでいただけませんか。すばらしい世界を作りたいのです。」
融合した超能力者が叫ぶ「お前らのやっていることは、全てお見通しだ! お前らなぞに協力などできるか!」
アルムが制止する。ドラコンは続ける。
「ご協力を願えませんか。あなたは、世界の全てを知る能力を与える“アルムの目” をお持ちだとか。その能力があれば、カル様と組めば、まさに最強。絶対的な統治体制 が完成するでしょう。」
アルム「私は、命たちの苦しみが嫌いなのです。 カル=キュローさんとはどうも肌が合わないようです。残念ながら、ご協力することはできません。 お引取りください。」
ドラコンは部下にアルムの仲間が融合した超能力者を押さえ込ませる。 彼らは抵抗しようとするが、アルムはそれを制止する。
ドラコン「協力しないというのなら、 あなたのお仲間は残念ながら・・死んでしまうことになりそうなのですが。それでも良いのですか?」
ドラコンはその美しい顔でいやらしく笑う。しかし、ドラコンの脅迫にアルムは動じない。
「その者を殺しても、私はアルムの目は渡しません。私たちは、あなたたちが来るときから、 死を覚悟していたのです。アルムの目を欲しいのなら、私を殺してから、 自分でお探しなさい。ただし、その者たちを殺すと、アルムの目は探せなくなりますよ。 嘘だと思うのなら、殺して御覧なさい。」
ドラコンは笑う。
「お前が持っているというのか。なら、殺してやる。」
ドラコンは剣を振りかざし、 アルムに近づく。アルムはにっこりと微笑む。
「ドラコンさん、 本当に良い世界を作ってください。私にはわかるのです・・あなたならできるはずです。 期待していますよ。」
ドラコンはにやりと微笑みアルムの顔に剣をつきつける。
「脅しではないのだぞ。言い残すことはそれだけか。」
アルムは言う。 「私はいつもあなたとともに居ます。私を殺したことを気に病まなくても良いのですよ。」
ドラコンがあざ笑う。「何を言っているのだ?死が怖くて、狂ったか。化け物め。」
ドラコンの振りかざした剣がアルムの胸に突き刺さる。
アルムが息絶える。
融合した超能力者達が泣き叫ぶ。
ドラコン「さあ、アルムの目の場所を教えろ。 そうでなければ、お前たちも・・」
言いかけたドラコンが驚きと喜びで目を見開く。
アルムの体が縮んでいき、そして、ひとつの目玉になって、空中に浮いて、光り輝いている。
ドラコン「すばらしい!!!アルムの目だ!カル様にお渡しせねば!」
その瞬間、アルムの目がものすごい勢いでドラコンの額に衝突する。あまりの勢いに、 弾き飛ばされるドラコン。
融合した超能力者が喜びの声を上げる。「ざまあみろ! お前などがアルムの目に認めてもらえるはずがないのだ!」
起き上がったドラコンの額にアルムの目がめり込んで張り付いている。超能力者が悲鳴をあげる。
「そんな・・・!何故、何故!アルムの目が認めたのだ?あいつが、継承者だと言うのか!?」
ドラコンは喜びにほくそえむ。「私を選んだだと?・・・そうか、私に王になれと言うのか? はははっは。はは!私は選ばれた人間なのか!・・」
笑うドラコンの声がだんだんと悲鳴に変わっていく。 「な。。なんだ?これは?・・い・・痛い・・いてて・・く・・苦しい・・ああ!。 助けて・・・助けて・・ひいい・・・ああああああ!・・・ぎゃあああああ!!!!!!!」
ドラコンの仲間が駆け寄る。「ドラコン様!」
ドラコンは失神してしまっている。 融合した超能力者たちは、ドラコンの仲間たちを超能力で押さえ込む。うろたえるドラコンの仲間。
「お前たちは確かにすごい。しかし、融合したわれ等の力には及ばないのだ。」

苦しみ、もだえるドラコンを必死に看病するアルムの仲間の超能力者たち。 「世界中の命たちの苦痛がドラコンに流れ込んできているのだ。 こんな奴が耐えられるとは思えないが・・」
「しかし、アルムの目が選んだのだ。間違いはないはずだ。」
数週間後、ドラコンは意識を取り戻す。
「苦しい・・お願い・・・殺して・・私を殺して・・・」
超能力者たちは言う。
「生きるのです。あなたはアルムの目に選ばれたのです。あなたが最長老様なのです。」

かつてのドラコンの仲間も、今はアルムの仲間と仲良く過ごしていた。 苦しむドラコンは、数ヵ月後には起き上がることができるようになっていた。
「苦しすぎる・・世界を救わねばならない。・・・」ドラコンはつぶやく。


ドラコンが人々の苦しみを軽くするために、ラッツやジータと各地を流浪する中で、 ドラコンはノウシェに 出会う。ノウシェはひどくドラコンを尊敬し、そして、ドラコンに法律を定めるように薦める。
ドラコン「私はそんな立派なことをしている訳ではありません。ただ、皆の苦しみを少しでも軽くしたい のです。皆の幸せを少しでも、多くしたいのです。」
ノウシェ「そんな貴方だからこそ、素晴らしい法律を書けると思うのです。どうか、法律を書いてください。」
ドラコンは考えておくとだけ告げる。
次の日、ドラコンはノウシェの元を離れて、他の村へと問題を解決しに旅立とうとし、ノウシェに別れを 告げる。
「法律は書いていただけましたか?」と期待に胸を弾ませるノウシェに、ドラコンはにっこりと笑って 答える。「書けましたよ。」
ドラコンが去った後、受け取った法律の書類を開けたノウシェは唖然とする。
そこには、ただ、こう書いてあった。
”法律   第一条   愛しなさい。 ”
”附則 この法律は、貴方がこれを見たときから施行されます。”


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