2008年12月14日日曜日

Dracon's Law:『星達の賛歌』

2007年10月14日

『星達の賛歌』
書き始め2003年12月7日

最終更新日2004年9月28日





<<独裁者ヒットラーは、敗戦濃厚になってきたとき、裏切り者を恐れるあまり、
精神的に不安定な状況、疑心暗鬼に陥り、ますます独裁的になり、人を信用せず、
不信に思われる部下を次々と殺し始めた。人を信用できないというのはもっとも
哀れなことの一つである。>>

カル=キュローは、人間が超能力者に敵対するのを恐れ、超能力者が人間を支配する
体制を築き上げようとする。信頼できる自分の家族のうち、洗脳能力が強い息子たち
を各地域のリーダーとし、彼らがその地域の軍隊・警察・治安維持部隊を洗脳する。
そして、命令に服従する人造人間や、機械人間を開発し、軍隊・警察・治安維持部隊の高官
に据えた。また、社会がスムーズに動くように、社会に必要な仕事をすることに生きがい
を感じるような人造人間の開発を試みた。しかし、人造人間の開発や人間を洗脳すること、
そして人間を支配することに、彼の愛するリリザ=マリアは激しく反対する。

カル=キュロー「愚かな人間たちは秩序を覆す行動を取りかねない!そんな危険性を排除し、
人間たちにも絶対的な安心を与えるのだ!何がいけないのだ!」

マリア「貴方は、他の人に自分の行動を決められて嬉しいですか?嫌でしょう!
嫌なことをさせられている人間ばかりの社会が長続きするわけがありません!」

カル=キュロー「だから、社会の秩序維持のための仕事を喜びと感じるような人間が必要なんだ!」

マリア「そんな命の冒涜を許せるわけがありません!」

カル=キュローは自分に逆らうマリアを洗脳し、自分に従順に従う僕にしてしまう。

そのような行動に、息子たちは反感を強める。息子たちも信用できなくなったカル=キュロー
は、息子たちも洗脳してしまう。カル=キュロー「どいつもこいつも逆らいやがって!
俺の言うとおりにしていれば、完全な世界ができるのに!全部愚か者だ!」

カル=キュローは自ら「神」を名乗り、洗脳された人間と、命令服従人間、アンドロイドという、
自分に絶対に従うものたちだけで上層部を築いていく。
またカル=キュローを愛するように洗脳された愛人たちと快楽に溺れて行く。



キールズはカル=キュローに皮肉を言う。

「お前は宇宙一哀れだな。カル。お前を慕ってくれるのは、お前が洗脳した奴らだけだ。
つまり、お前が作った脳みそだけしかお前を慕ってくれるものはいない。
お前が洗脳能力を失ったら、誰もお前の味方にならないだろう。
自らの判断でお前を慕うものは誰もいないのだ。ははっははは。」

侮蔑して笑い飛ばすキールズ。

カル=キュローは大いに怒る。

「自分の判断で私に従うものもいるのだ。私に逆らうものは全て抹殺される。
誰も自分の命は惜しい。」

キールズ「恐怖政治か。馬鹿だねぇ。つまり、嫌なことをみんながしぶしぶやっている社会だろ。
そんな社会には反感が募るに決まっているだろ。そんな反感を抑えるために余計、
無駄な労力がかかるだろ。そんな社会が上手く回るわけがない。」

カル「強いものに従うのは自然の摂理だ。」

キールズ「自然が一番すばらしいわけではない。やはりお前はその程度の考えしかできない愚か者だ。」

カル「愚か者が私のことを“愚か”と言うな!」

キールズ「せっかく助言してやっているのに、それも分からないとは、よっぽど“愚か”
なんだろうな。“愚か者”のカルさんは。ミドルネームを“愚か者”に変えた方が良いんじゃないか。
どうですか、カル=“愚か者”=キュローさん?」



セロ=ゴーギュとオズマは、カル=キュローに戦いを挑むが、セロは戦闘不能に陥る。

オズマにカルは言う。「お前だけなら助けてやっても良いぞ。ただし、セロを殺したらな。
もともとセロは、お前の一族を殺した敵だろ。隠さなくても良い。お前の心の中に、
セロへの憎しみがあるのはわかっているぞ。」「お前が、爺ちゃん(セロのこと)
を無理やりに操ったんだろうが!」

オズマは怒り、カルに攻撃を加えようとするが、逆に攻撃されてしまう。
セロにもカルは言う。「セロ。お前でも良いのだぞ。昔のように、俺の下で、
安心できる日々を送らないか?お前も良い戦士だった。俺に逆らいさえしなければ。」

セロはうなづく。

カル「さすが、セロだ。お前は利口だ。それでは、オズマを殺してしまえ。」

セロはオズマに近づく。オズマは信じられないといった面持ちでセロを見つめる。

「嘘だろ。爺ちゃん」

セロはオズマからエネルギーを吸い取り始める。エネルギーを吸い取られ、力を失い、
倒れこむオズマ。

カルはセロに近づく。「よくやった。セロ。」

カルが油断してセロの直ぐ傍まで近づいたそのとき、セロがオズマから吸い取ったパワーを
一丸に集め、カルを攻撃する。オズマはセロを信じ、自分のパワーを技術的に優れたセロに渡し、
最後の攻撃をすることをわかっていたのだ。

「人を恐怖で操れると思ったお前の負けだ!!」

同時にセロとオズマが叫ぶ。吹き飛ばされ、瓦礫の中に埋もれるカル=キュロー。
力を全て放出し、倒れこみ、抱き合う二人。

そこへ、高らかにカルの笑い声が響く。瓦礫がふっとび、中から、マリアのバリアーで
守られたカルが姿を現す。

「俺がお前を信じるとでも思ったのか?セロ?俺が愚か者に頼るとでも思ったのか?
俺を裏切るような奴を俺が信じるとでも思ったのか?俺は神だ。人を操り、絶対的な
秩序を完成させる。愚かな人間どもは、俺に従い、完全な社会に住めば良いのだ。」



リリザはカルに囚われる。そんなリリザを助けるため、無謀な戦いで命を落としていく人々。

そんな彼らを見ながら、リリザは涙を流す。

「もういい。俺のことはもういいから、死なないでくれ。」

カルは笑う。

「愚か者のために涙を流す必要など無い。お前は選ばれた超能力者なのだ。神の娘なのだ。
反社会分子・・愚かな人間がどんどん減って良いではないか。さすが神の娘だ。
反社会分子を探し出す手間が省ける。どんどん反社会分子を呼び出し、
神の聖戦に貢献してくれているのだから。」



そんな折、カインはアンドロイド機械大軍をカシナートの剣でばっさばっさと
壊滅させていく。驚くカル=キュロー。



さらに、ホルムズとキールズとヤシュヌがカル=キュローの浮遊城に侵入し、
カル=キュローとマリアと超能力者の一団に対峙する。

キールズ「やっと会えたな。カル=“愚かもの”=キュロー。あ、そうだ。ついでに
“宇宙一哀れな男”だったっけ?」

退屈そうにあくびをするヤシュヌ「ほる・・こいつか?お前の言っていた。
強い奴ってのは?ぜんぜん強そうでないが・・お前嘘ついたんじゃないだろうな!」



第三の不死人ゴーリヤとの戦いで押されぎみのホルムズとヤシュヌ。

ヤシュヌ「埒があかねぇ。パワーが必要だ。全宇宙からパワーを・・。
キールズ!なんか良い案はねぇのか。」

キールズは仲間の超能力者の力で、他の人間から力をすこしづつ分けてもらうことを提案する。
(鳥山明氏のDRAGONBALLの”元気玉”のパクリです。鳥山明様、済みません。)
星達のホルムズ達を信じる人々から少しずつ力が集まり、ホルムズに集結していく。
しかし、エネルギーの塊は遅すぎて、とてもゴーリヤには当たらない。
ヤシュヌはゴーリヤを押さえつけ、ホルムズにエネルギー弾をゴーリヤに食らわすように命令する。
嫌がるホルムズだが、懸命の叫びに、ホルムズはエネルギー弾をゴーリヤに放つ。
砕け散るゴーリヤとヤシュヌ。ヤシュヌはばらばらに砕け散り、徐々に集まろうとするが、
すごく時間がかかる。そのうちに、信じられないことに、ゴーリヤは既に再生しかけてしまっていた。

カル=キュローがたか笑う。「ゴーリヤは、お前らなんかとは比べ物にならないくらい破壊され、
痛めつけられたのだ。再生の能力はお前らより遥かに優れているのだ。」

そのとき、ドラコンが現れる。ゴーリヤの激しい苦しみを感じ、
彼の今までの人生と記憶を読み取り、ドラコンは怒り狂う。

「カル=キュロー。。。あなただけは許さない。こんな命を生産して良いのか!」

近寄るドラコンはゴーリヤの破片を抱きかかえ、治癒を始める。ドラコンの信じられない行動
に唖然として言葉を失うホルムズとキールズ。再生したゴーリヤは、ドラコンに撫でられ、
子供のようにしがみついている。カル=キュローはゴーリヤに苦痛を与え、
ドラコンを殺すように命じるが、ドラコンはそんなゴーリヤの苦痛を弱める。ゴーリヤは怒り、
カル=キュローに攻撃をしかけようとする。その途端、カル=キュローは、
ゴーリヤに強烈な苦痛を与え、ゴーリヤは失神してしまう。

ゴーリヤを蹴り転がすカル=キュロー。

「全く、役立たずが・・どれだけお前に金をかけたのか、分かっているのか・・」

ドラコンがカル=キュローを睨みつける。

「ゴーリヤは・・・貴方に失神させられることを知っていたのです。それでも、私のために、
立ち向かってくれたのです。貴方は自分のことを神だと言うが、貴方は誰からも愛されていない!
貴方なんかが神なわけがないでしょう!もう、人間の支配などお止めなさい!」



いよいよ残るはカル=キュローただ一人。ぼろぼろになったホルムズとドラコンが近寄る。

ホルムズが怒って叫ぶ。「みんなの痛みを思い知れ!」

攻撃しようとするホルムズをドラコンが制止しようと叫ぶ「おやめなさい!ホルムズ!」

しかし、ホルムズの攻撃は速過ぎて止まらず、ホルムズの攻撃を受けて、カル=キュローの腕が吹き飛ぶ。

勝ち誇るキールズを横目に、ドラコンが首を横に振る。

ホルムズの顔が驚きに変わる。「そんな・・・どうしたら良いんだ・・?」

カル=キュローは笑う。「残念だったな。神がそんな間抜けに見えるのか?ほら、攻撃しないのか?
私をどんどん強くしてくれよ。そのためにお前を泳がせておいたのだから。
お前は私を強くするために、生まれてきたのだぞ。そのために強くなってくれていたんだろ?
さぁ、お前の役目を果たすときが来たのだぞ。ホルムズ号。どんどん攻撃してくれよ。」

カル=キュローの切り離された腕が跳ね上がり、もとどおりにくっつく。

カル=キュローもまた、“不死の薬”を飲んでいたのだ。

「愚か者が神に勝てると思うのか?全て計算済みだったのだよ。お前も私の計画を完成させる
道具だったのだ。愚か者め。」

キールズがつぶやく。「何故だ?!“不死の薬”を飲んだものは、一切の記憶を失うのでは
なかったのか?!!」

カル=キュローが笑う。

「私は神なのだ。お前らとは脳の出来が違うのだ。私こそ選ばれた人間なのだ。」



ドラムが凍結されていた研究者を生き返らせる。研究者は言う。

「なんてことをしてしまったのだ・・カル=キュローに・・」

カル=キュローは、自分の体型・DNAと全く同じ人造人間を作り出し、
不死の薬を飲ませて記憶を失わせると同時に、その脳と神経を、自分の脳と神経と、
そっくりそのまま入れ替えさせたのだ。



無力感にさいなまれるホルムズにもカル=キュローは精神的苦痛を与える。

ホルムズは失神してしまう。

勝ち誇るカル=キュロー。

「私に逆らえるものなど、この宇宙には存在しないのだ。わからないのか、ドラコン。
私は神なのだ。神から選ばれた人間なのだ。神は私を選び、私にこの能力を与えたのだ。
そして、さらに、私は自らの力で永遠の命も手に入れているのだ。
さあ、私にひれ伏すが良い。お前も以前は私に十分に仕えてくれた。私に服従しろ。
そうすれば今までのことは全て水に流してお前を許してやる。
お前も神に選ばれた人間なのだ。私とともに、すばらしい世界を築こうではないか。」



「以前の私ならそうしていたでしょう。しかし、アルムの目を身に付けてわかったのです。
あなたは世界に苦痛しか生まない。世界が悲しんでいます。もうおやめなさい。
あなたは神でも選ばれた人間でもない。悪魔に魂を売って、世界に苦しみをばらまいている
悪魔の手先にすぎないのです。」「お前、少しは利口だと思っていたが、
今の状況が分かっているのか?従うか死ぬかしかないだろ?それとも私に勝てるとでも言うのか?」

ドラコンは微笑む。

「勝てるわけがないでしょう。それに、勝ちたいなどとは思ったことはありません。
・・確かに、ここに来るまで、私は貴方を憎んでいました。殺してやろうと心の底から
思ったこともありました。しかし、ここに来れて、本当に良かった。
貴方がどれだけ悲しい思いをしたのか、貴方がどんな思いでこのような愚行を行っているのか、
それが分かったのですから。貴方がこのようなことをするのも、許せます。貴方が誰も信じずに、
貴方の安心できる世界を作りたいのは分かります。でも、貴方を安心させられるのは、
貴方を愛する人だけです。だから、貴方を愛したいのです。」

カル=キュローは黙って聞いている。ドラコンは続ける。

「そして、もう止めて欲しいのです。苦しみと脅迫は人に裏切りしか生みません。
むしろ、愛せばよいのです。愛して欲しいのです。」

「愛してやるさ。私の僕となって、働くのならな。私は神なのだ。神に従うことに何故ためらう?!」

「人間は、盲目に従っても喜びを得ることはできません。たとえ失敗しようとも自分の頭で判断して、
行動したいのです。ホルムズ達を御覧なさい。彼は貴方が言う愚かな人間かもしれません。
でも、自分に誇りを持って、喜びを勝ち得て生きているのです。
貴方に従っていたセロは幸福でしたか?違うでしょう!」

「私の言うとおりにすれば、成功も名誉も与えてやる。何が気に食わぬ?」

「そのために、どれだけの犠牲を生むつもりですか?」

「優れた人間のために、犠牲は必要なのだ!お前も他の動物を食らって生きているのだろう!」

「犠牲を増やそうと思って生きてはいません。」

「私に従えば、秩序ある世界が実現され、戦争もなくなり、結局は犠牲が少なくなるのだ!
お前は神だとあがめられているのかもしれないが、結局は私に逆らい、戦争を起こし、
多くの犠牲者を生んでいるではないか。お前こそ、悪魔の手先ではないのか?」

「私は犠牲と不満と苦しみの多い今のような平和を望んでいるのではありません。
そういう意味では、確かに私は争いをもたらすために行動してきたのかもしれませんね。
しかし、争いは必要なことなのです。ホルムズやヤシュヌを見て、私はそう思うのです。」

「人の命を軽んじているのは、お前の方ではないのか?」

「私は命を奪うような争いを肯定しているのではありません。命を輝かせるための争いを
肯定しているのです。」

「命を輝かせる??訳がわからぬ!」

キールズが激痛の中で笑う。

「神の癖に、愚かな奴だ。俺でもわかるのによ。」

カル=キュローがキールズへ激痛をより強く与える。キールズが激痛に身をよじる。

カル=キュローはドラコンを睨みつける。

「屁理屈ばかりをこねる女だ。もう良い。時間の無駄だ。お前はもう少し利口だと思ったのだが
・・仕方ない。お前に選ばせてやろう。私に従い、世界を秩序に導くのか、それとも、
私に逆らい、強制的に従わされるのか?」

「待ってください。私の言葉を聞いてください。」

「時間の無駄だと分かったのだ。10秒以内に選べ。さもなくば、処刑する。」

「今のあなたとは肌が合わないようなのです。今のあなたに従うことはできません。」

「なら、従ってもらうまでだ。お前はアルムの目をもっているはずだ。
お前も十分に私の道具になる資格があるのだ。」

ドラコンは微笑みながら、近づく。

「やって御覧なさい。」

カル=キュローがいやらしく笑う。

「馬鹿な女だ」

ドラコンにもカル=キュローは精神的苦痛を与えるが、いくら与えても、
ドラコンはものともせずにカル=キュローに近づいていく。

うろたえるカル=キュロー。

「何故だ?何故?!私の力が通用しないというのか?!」

キールズが笑う。「ドラコンは不感症なんだぜ。おまけにマゾヒストなのさ!!」

カル=キュロー「何?!」

キールズ「冗談だよ。愚か者!」

ドラコン「うろたえなくとも良いのです。感じていますよ。確かにあなたの能力はすごい。
ただ、このような苦しみは、世界のみんなの苦しみからすれば、微塵にも値しません。」

初めてカル=キュローが慌てふためく。

「そんな・・私の計画とは違う。・・神の世界を構築するために、お前が従うことに決まっているのだ。
お前は私に屈せねばならないのだ。」

カル=キュローが全力でドラコンに苦痛を与えるが、ドラコンは平気な顔で微笑みながら、
カル=キュローに近づいていく。



遠く離れた惑星アルテマで、かつてアルム=アクラを守っていた超能力者たちが
この様子をのぞいていた。

「最長老アクラ様は、未来を予知する能力を持っておられた。あのとき、何故、
みすみす殺されたのかわからなかったが、こうなることがわかっておられたのだ。
そして、この後のことも。」



カル=キュローの側まで来たドラコン。

怯えるカル=キュロー。

「何をする気だ!」

ドラコン「あなたは罪を犯しすぎたのです。。。カル=キュロー、さあ、私と行きましょう。」

ドラコンは微笑む。

怯えたカル=キュローは混乱して取り乱す。

「『私と一緒に“いく”』だと?・・・一緒に死ぬとでも言うのか?・・・・私は不死なのだぞ?!
何をするというのだ?!・・なぜ、笑える?!」

近づき、にっこり笑って手をさしのべるドラコン。

「私にはわかっていたのです。世界は幸福に導かれるはずです。カル・・いきましょう。」

ドラコンはカル=キュローの額に触れようとする。

カル=キュローは逃げ惑うが、追い詰められて、転ぶ。

「・・・仕方がない。もうアルムの目など要らぬ!!アルムの目などなくとも私は神なのだ!!!」

カル=キュローは叫ぶ。

「死ぬしかなさそうだな!

お前が!」

怯えたカル=キュローはドラコンを銃で射撃する。

ドラコンの体が銃撃で痙攣したように動き、倒れる。

キールズとホルムズが叫ぶ「ドラコン!!!!そんなぁ・・」

ドラコンは血反吐を吐きながら、横たわり、満足げに微笑む。

その様子をカル=キュローは心配そうに見ている。ドラコンはホルムズとキールズを見ながら、
そして全世界の人々の感情を感じながら言う。

「私はいろいろな人と巡りあえました。私がいなくても大丈夫です。世界には、
私の意志を引き継いでくれる人たちが大勢いる。

“私”の苦痛がなくなる日が来るように、。。。

みんな頑張って。。。

みんな・・愛して・・・。」

ゆっくりと目を閉じるドラコン。

「・・最長老アクラ様、、やっとあなたのもとに行けます。

私を許していただけるでしょうか・・・無理ですよね・・・・・・・。

さぁ、カル・・・

私とともに

行きましょう・・・」

ドラコンが息絶える。



ホルムズとキールズが叫び声をあげる。



汗をかいたカル=キュローが高らかに笑う。

「はははは・・・驚かせやがって!!!何も起こらないではないか!!
ただの脅かしだったようだな!!」

ドラコンが縮んで消えていき、アルムの目が浮かび上がる。
カル=キュローが目を見張る。

「これは・・・アルムの目・・か・・?」

アルムの目から煙のようなものが出て、カル=キュローにまとわりつく。

カル=キュローが悲鳴をあげる。

「い・・・いいいったたったった!!・・ひいいい・・ぎゃああああああ!!!!

・・何だ!?これは、

いいいたった。

こいつか!!」

カル=キュローは激痛をアルムの目に流し込むが、その痛みが自分に感じられる。

「なんだ???こいつ、俺に激痛を与えるだと???!!!この神に!俺は神なんだぞ!冒涜者め!」

カル=キュローはさらに激痛を与えるが、それが自分に感じられ、悲鳴を上げる。

さらに煙がカル=キュローにまとわりつくと、カル=キュローはのたうちまわり始める。

キールズが激痛に這い蹲りながら笑う。

「本当に愚か者だ・・自分で自分を苦しめてやがる・・ざまぁ見やがれ・・」

もんどりうちながら、カル=キュローはアルムの目を射撃する。アルムの目に弾丸が当たり、
アルムの目が木っ端微塵に砕け散る。

途端にカル=キュローが悲鳴をあげるが、しばらくして、勝ち誇ったように立ち上がって言う。

「なるほど、痛みを跳ね返す役目を果たしていたのか。そりゃ、ドラコンも平気で居られたはずだ。
確かに、神の与えた玉だ。壊れてしまえば仕方ないがな。」

呆然となったキールズがつぶやく

「うそだろ・・アルムの目が壊れちまった・・」



ホルムズが叫ぶ。「これでおしまいだ・・・!くそう・・・!」



そのとたん、砕けたアルムの目の破片が跳ね上がり、カル=キュローに突き刺さり、
光を発する。カル=キュローが断末魔をあげ、光に覆われていく。・・・・・・・



ホルムズが立ち上がる。「あれ?痛みを感じないぞ?」・・・・





近くの星々で喜びの声が上がっていた。

「やった!ドラコンが勝ったのだ!」

「やりやがったな!ホルムズ!」

カル=キュローの超能力で激痛を与えられ、とらわれの身になっていた人々の激痛が消えたのだ。

洗脳されていた人々がわれに帰り、自分の頭で考えるようになって、喜び、星中が、大騒ぎになっていた。

リリザ=マリアも我に帰っていた。

事態に気付いたマリアは、ワープして、ホルムズの側に飛んできた。

ホルムズと手をとり、喜ぶマリアの耳に、カル=キュローの声が聞こえる。

驚き、振り返るマリア。

「あなた・・・生きていたの・・・?」



身構えるホルムズとキールズとドラム。

やつれたカル=キュローがふらふらと倒れこむ

「いたい・・・いたい・・・俺を殺してくれ・・」。

カル=キュローの額にアルムの目が張り付いている。

カル=キュローは倒れこみ、失神する。

キールズが腹を抱えて笑う。

「ドラコンの野郎・・・やってくれるぜ。こうなることを分かっていやがったんだな。

カル・・本当に可愛そうにな。

・・死にたくても死ねないもんな・・・

こりゃ傑作だよ。」



ドラコンのまとっていた服を見て、キールズは一瞬悲しそうな顔を見せる。

「本当に大馬鹿野郎だ。かっこつけて死にやがって。おいしいところ一人締めしやがってよ。」

そう言いながら、キールズの頬を涙が流れる。



数ヵ月後、カル=キュローは意識を取り戻す。そして、超能力者たちに、
争いを起こさないように指示を出す。

カル=キュローの支配体制が終結したのだ。





激痛に苦しむカル=キュローの病床にリリザ=エルーラが見舞いに来ている。

「父さん。どこにいるのか分かるでしょ。」

カル=キュローの指を刺す方向を確認すると、エルーラは母マリアに別れを告げる。

「じゃ、行ってくる。今度は早く会えると良いけど。」

マリアは微笑む。「大丈夫よ。父さんは私が看病しているから。」

リリザはホルムズやキールズたちと円陣を組む。「それじゃ、行くわよ!」

ホルムズ「エイエイオー!」

キールズ「いつになったら、苦しみがなくなるんだ?えらい宿題をドラコンも出してくれたもんだぜ。」

リリザ「馬鹿たれ!文句言わないの!」

リリザ達がワープする。



リリザ「さあて、どこかしら?」

ホルムズ「居た!」

ホルムズが嬉しそうに怪我をしたウサギを抱きかかえる。

そこに銃撃。

ホルムズが銃弾を全て手づかみにする。

リリザが声を張り上げる。「待って!食料はあるのよ!殺さないで!」

キールズが原住民に分かる文字に変形する。

キールズ「俺の残業手当は?」

リリザ「うさぎとのキスで我慢しなさい!」

リリザ達の旅は続く。



ドラコンの法律シリーズ 終





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